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東京地方裁判所 平成4年(ワ)21416号 判決 1994年10月14日

主文

一  被告は、原告に対し、別紙物件目録(一)(二)記載の各部屋を明け渡し、かつ平成四年一一月一日から同(一)記載の部屋の明渡済みに至るまで一か月金六万円の割合による金員を支払え。

二  訴訟費用は被告の負担とする。

理由

第一  原告の請求

一  主文第一、二項と同旨

二  仮執行宣言

第二  事案の概要

本件は、原告が被告に賃貸している部屋を用法違反等による信頼関係喪失を理由に、また被告に使用貸借により利用させている部屋を用法違反を理由に、各解除してその明渡しを求める事案である。

一  基礎となる事実(争いがない。)

1  原告は、昭和五三年又は昭和五六年ころに、別紙物件目録(一)記載の部屋(以下「本件(一)貸室」という。)を、被告に対して一か月金四万円で居住用として賃貸した(以下「本件賃貸借」という。)。

2  原告は、平成四年一〇月五日到達の書面により、被告に対し、用法違反等を理由に本件賃貸借を解除する旨の意思表示をした。

3  原告は、平成元年五月三〇日、被告に対し、別紙物件目録(二)記載の部屋(以下「本件(二)部屋」という。なお、本件(一)貸室及び本件(二)部屋を含む別紙物件目録記載の建物全体を、以下「山喜ビル」という。)無償で使用させる旨を約し、引き渡した(以下「本件使用貸借」という。)。

4  原告は、平成五年三月一一日の本件口頭弁論期日において、被告に対し、使用方法逸脱を理由に本件使用貸借を解除する旨の意思表示をした。

二  争点

1(本件(二)部屋関係--本件使用貸借の解除原因の存否)

原告の主張

(一)  本件使用貸借契約においては、本件(二)部屋は、荷物の一時保管場所としてのみ使用できる旨、電気・ガス・水道は使用しない旨が定められていた。

(二)  ところが、被告は、隣接する本件(一)貸室から本件(二)部屋に電気を引き、本件(二)部屋を居住用として使用している。

被告の主張

(一)  使用方法の定めについての上記主張は正しくない。本件使用貸借に際し、被告は、山喜ビルの管理をしている訴外川田正樹に対し、本件(二)部屋を子供の勉強部屋として使いたいので、電気を使用させて欲しいと依頼した。これに対し、川田は、電気の使用方法は適当に考えて欲しいと述べ、勉強部屋としての使用を禁ずるとは言わなかつた。

(二)  上記(二)は認める。

2(本件(二)部屋関係--本件使用貸借の解除における解除権濫用の有無)

原告の主張

下記の主張は争う。

仮に被告の主張する事情があつても、原告から居住用としての同意を取らずに、用法違反を平然と無償で行うことが正当化されるものではない。

また、原告が新築工事に着手することができないのは、山喜ビルの一階に店舗を経営している賃借人が移転に同意しないためである。さらに、山田荘の部屋と本件(一)貸室の広さはほとんど変わらない。

被告の主張

被告が本件(二)部屋を居住用として利用せざるを得なかつたのは、原告が約束に反して新規の共同住宅を建設して被告にその一室を提供しないからである。

すなわち、被告は従前原告から山喜ビルに隣接した場所にあつた通称山田荘の一室(以下「山田荘二〇二号室」という。)を賃借していたところ、原告が山田荘を建て替えるので、一時移転して欲しい、建替後は被告に一室を優先的に貸すというので、被告は、風呂がなく狭くもなる本件(一)貸室に移つたのである。しかし、原告は山田荘の建替えに着手もしていない。

よつて、解除権の行使は、権利の濫用である。

3(本件(一)貸室関係--解除原因の存否)

原告の主張

(一)  被告は、本件(二)部屋につき前述のように居住用に使うという用法違反をしている。

(二)  被告は、平成二年ころから山喜ビルの裏側にある原告の駐車場にバイクを無断駐車しており、原告が注意しても全く改めなかつた。

(三)  老朽化した山田荘の建替えについて、殆どの賃借人はそれに協力して転居したが、被告は転居を拒んでいた。そのため、原告は、被告に対し本件(一)貸室を賃貸した。

(四)  その後被告は、本件(一)貸室の賃料及び水道料の支払いを滞りがちであり、町内会費の支払いもしなかつた。また、原告が昭和六三年に初めて賃料を一か月金六万円に値上げしようとしたが、被告に拒否された。

(五)  原告は、本件賃貸借以前には被告に対し山田荘二〇二号室を賃貸していたが、被告は、その賃料を約定どおりに支払つたことがなく、光熱費、水道料の支払いを遅滞し、町内会費は支払つていなかつた。

(六)  以上のような被告の諸行為により、原告と被告との信頼関係は破壊された。

被告の主張

(一)  上記主張のうち、本件(一)貸室以外の問題は、本件(一)貸室についての本件賃貸借の解除事由とはならない。

(二)  被告は、上記(二)の駐車場に無断駐車をしていない。被告は、バイクの駐車のために平成元年六月まで駐車料を払つていたが、山喜ビルの管理をしていた川田から、無償で使用してよいと勧められたから、それ以後右支払いを中止した。

(三)  仮に本件(二)部屋の使用方法の問題が本件賃貸借に影響すると仮定しても、2のとおり本件(二)部屋の使用はやむを得ない事情に基づくものであり、原告に対する信頼関係を破壊するものではない。

4(結語)

原告の主張

よつて、原告は、被告に対し、本件賃貸借及び本件使用貸借の各解除に基づき、本件(一)貸室及び本件(二)部屋の明渡し並びに本件賃貸借の解除の日より後の平成四年一一月一日から本件(一)貸室明渡済みまで賃料相当損害金(一か月金六万円)の支払いを求める。

被告の主張

原告の請求は理由がない。

第三  争点に対する判断

一  事実関係について

証拠によれば、次の事実が認められる(以下、事実認定に供した主な証拠につき、認定事実末尾に甲第一号証を甲1のように略記する。)。

1(山田荘二〇二号室の賃貸)

原告会社の代表者である雁金惠美子(以下「雁金」という。)は、個人として、昭和五四年三月に被告に対し原告の前代表者雁金キミ所有の山田荘の一室(二〇二号室)を一か月金三万六〇〇〇円で賃貸した<甲4>。

2(山喜ビルの本件(一)貸室の賃貸)

山田荘が老朽化してきたため、雁金は、その立替えを計画したところ、賃借人の大部分は雁金の意向に応じて賃借していた部屋を明渡した。ただし、賃借人中三人は単純明渡しを拒否し、内二人は、雁金キミ所有の建物に移転し、残る一人である被告は、山田荘解体後の新築建物完成時にはその中の一室を優先的に借り受けられるとの条件付きで、昭和五六年五月一日隣接する山喜ビルの二階の本件(一)貸室に移転して、山田荘二〇二号室を明け渡した。雁金は、山田荘を取り壊したが、新建物は未だ建てられていない。

本件(一)貸室は、昭和五六年の本件賃貸借開始当初から賃料一か月金四万円とされた。原告は、被告に山喜ビルに移転して貰う際に苦労した経験があるので、本件(一)貸室の賃料を値上げすることもためらい、従前の一か月金四万円のままにしているが、賃料は契約当初から一三年を経過した現在では一か月金六万円程度でも不当とはいえない。

山田荘二〇二号室は、六畳、三畳、台所から成り、トイレ、バスが備えられていたが、合計約二二ないし二五平方メートルあり、本件(一)貸室は、バスがないものの合計約一九ないし二三平方メートルである。

3(賃料等の滞納)

被告は、山田荘二〇二号室を賃借していた当時から、賃料の支払いを遅滞し勝ちであり、記録に残つているものとしては、昭和五六年三月及び四月の同室の賃料各金三万六〇〇〇円の支払いを昭和六二年一月時点においても延滞していた。

さらに、被告は、本件(一)貸室に移転した後も、まず一か月金四万円、前月払いの賃料の支払いを遅滞気味であり、昭和五九年一月分二月分を約八か月遅れの昭和五九年九月三〇日に支払うといつた具合に約八か月程度遅延していた。そこで、昭和六〇年三月一〇日には、被告は、原告に対し、昭和五九年八月分から昭和六〇年三月分までの八か月分の賃料合計金三二万円の支払いが遅滞していることを認めてその支払い方法を定めた約定書を作成し、それに従い滞納分を昭和六二年一月までに支払つた。

その結果、昭和六二年一月現在では、本件(一)貸室の賃料の滞納は解消されたが、被告は、前記山田荘二〇二号室の二か月分の賃料並びに本件(一)貸室についての昭和五六年五月分以降昭和六二年一月分までの一か月金一〇〇〇円・合計金六万九〇〇〇円の管理費、同昭和六一年二月から昭和六二年一月までの一か月金二〇〇円・合計金二四〇〇円の町会費及び同昭和六一年一月から昭和六二年一月までの合計金一万〇四〇九円の共同の電気代を、昭和六二年一月時点で全く支払つていなかつた。

この分のうち、山田荘二〇二号室の昭和五六年三月分の賃料は昭和六二年三月七日に約六年遅れで、昭和五六年四月分は平成元年三月三〇日に約八年遅れで支払われた。右の内、その余の滞納分も、その後に概ね支払われた。

4(駐車場の無断使用)

被告は、山喜ビルの敷地の駐車場にバイクを駐車していたが、契約では一台で一か月金三〇〇〇円であつたところ、昭和六三年六月ころまで、バイク二台を駐車していた。原告は、昭和六三年六月一七日、被告に対し、右の駐車につき、二台分の駐車料金を請求したが、被告から支払いはなかつた。

さらに、被告は、昭和六三年七月から平成五年一二月ころまでは、一か月金四万円の駐車料金を要する自動車一台分のスペースを使用して、駐車代金を全く支払わずにオートバイを駐車していた。これに対し、原告が平成二年三月にその中止を通告したが、被告は応じなかつた。この点に関し、被告は、原告から山喜ビルの管理を任されている川田が無償で使用してよいと言つた旨を供述する。しかし、川田の証言によれば、川田が原告の意向を確かめずに確定的に駐車代金を免除することは有り得ないのであり、川田が被告に対し右駐車代を免除する等とは言わなかつたと認めるのが相当であり、被告の供述は採用できない。

5(本件(二)部屋の使用貸借)

原告は、平成元年ころ、老朽化してきた山喜ビルの立替えを計画し、知人の川田に山喜ビルの賃借人の立ち退き交渉を依頼した。山喜ビルの二階、三階の賃借人は、被告を除き金二〇万円から金四〇万円の立ち退き料を受け取るのと引換えに賃借している部屋を明け渡した。他方、山喜ビルの一階には店舗が入つており、これについては、立ち退くか新築建物に入居するかの意見が分かれ結論が出ていない。

川田から立ち退きの交渉を受けた被告は、本件(一)貸室の隣の本件(二)部屋の使用方を川田に要望した。原告側においてこれを認めれば、被告が原告側の要求を受け入れるということであつたので、川田は右被告の要望を原告に伝えた。被告の右要望は、本件(二)部屋を物置兼勉強部屋として使用させて欲しい、電気・水道は使用する、本件(二)部屋は本件(一)貸室を明け渡すときに異議なく明け渡すという内容であつた。川田は、原告と相談の上、荷物のみの保管、原告の要請があれば荷物は直ちに搬出する、搬出しない場合にはその荷物の所有権を放棄する、ガス・電気は使用しない、鍵は管理人が保管する、違反したときには荷物を直ちに搬出し、本件(一)貸室も明け渡す旨の条件なら貸してもよいと伝えた。被告は右最後の項目は削つて欲しいと要望した。その結果、右最後の項目のない使用願い(書面)が被告から提出され、平成元年五月三〇日に基本的には原告の右提示条件どおりの本件使用貸借が成立した。原告は、本件(一)貸室から被告を立ち退かせることは難しいことを感じていたため、それを容易にしつつ、かつ、被告に対し本件(二)部屋を利用させることにより新たに山喜ビルの建替の障害となることは避けたかつたので、右のとおりの内容としたのであつたと推認される。

6(本件(二)部屋の使用内容)

被告は、隣接する本件(一)貸室から電気を引き、本件(二)部屋を子供(平成六年六月当時二四歳)の勉強部屋として利用している(争いがない。)が、そのような使用は、真実は平成元年の本件使用貸借開始直後からであつた。ところが、被告は、本件訴訟の当初は、「本件使用貸借開始後は約定に従つて物置としてのみ使用していたが、平成四年一月ころより生活空間が狭いためかつ原告が約束に反して新築工事に着工しないために、やむなく居住用として利用し始めた。」旨事実に反して説明をしていた。これは、被告がそのような利用方法をしていることにつき原告が当初は気付かなかつたために、被告は、平成四年一月から用法を変更したというように、原告の誤つた認識に合わせた主張をしていたものと推認される。いずれにしろ約束に反しておりかつ隠し通せないのであるから、むしろ明らかにしてそのことの理由を説明しようとしたものと推認される。

また、山喜ビルの二階以上には被告しか居住していないので、原告は、平成五年二月に消防署から共同住宅部分の空室及び屋上部分の進入防止策を講じるように指導を受けている。被告は、被告が居住していることを知らずにした指導ではないかと述べるが、見知らぬ者の不法進入及び火災を防止する見地からは、空室の多い山喜ビルに対する消防面からの指導内容は基本的には変わらないと考えられる。

二  本件使用貸借の解除原因の存否(争点1)について

そこで、一の認定事実を前提として、争点について検討する。

まず、本件(二)部屋についての本件使用貸借は、前記一5のとおり、荷物の一時保管場所としてのみ使用でき、電気水道を使用しない旨を確約し、その旨を充分に了解しあつて被告が文書まで差し出したものである。原告としては、一2のとおりの山田荘二〇二号室の立ち退き交渉、一3のとおりの賃料等の滞納があるので、被告に対しては本件(二)部屋を賃貸はもとより使用貸借もしたくはなかつたが、本件(二)部屋を利用させることにより、被告が本件(一)貸室の明渡しについての原告側の要求を受け入れるというので、いつでも容易に明け渡してもらえるように定めて使用貸借としたのである。ところが、被告は、一6のとおり、初めからそれを巧妙に無視して、原告に判らないように居住用に利用し始め、原告に判つた後もそれを続けているのであつて、本来なら賃料を払うべき約束違反の利用を使用貸借の名の下に享受していることとなり、その用法違反は明らかである。

三  本件使用貸借の解除における解除権濫用の有無(争点2)について

本件(二)部屋の利用の希望は、一5のとおり、原告が山喜ビルの建替えのための立ち退き交渉を始めたのをきつかけに被告から初めて表明されたのであり、それまでの間、被告から、本件(一)貸室は手狭であるから本件(二)部屋をさらに居住用として貸して欲しい等という申入れは全くされなかつた。したがつて、本件(二)部屋の用法違反は、山田荘二〇二号室の立ち退き時の新築建物中の一室の提供という原告のした約束の実現が遅れていることとは無関係にされたものであり、解除権濫用の被告の主張は、前提を欠き理由がない。

のみならず、次の点からも解除権の濫用の主張は理由がない。すなわち、一2のとおり、もともと山田荘二〇二号室も相当に狭い部屋であつたのであり、子供一人の家庭で子供が幼いときには(本件(一)貸室移転時である昭和五六年における被告の子供の年令は、一6から逆算して一一歳と算出される。)別であるが、それから八年後の平成元年(被告の子は一九歳)においては、もともと山田荘二〇二号室でも手狭であつたのである。したがつて、仮に原告が山田荘を解体して新建物建築後に被告が従前と同程度の部屋(甲1の別紙覚書三条による場合もそれ程変わらないと考えられる。)を借り受けていたとしても手狭であつたであろうから、山田荘の建替えの遅れは、本件使用貸借における用法違反を正当化するものではない。さらに、本件において原告が被告を困らせる目的の下に山田荘の建替えを遅らせたような事情は見当たらない。原告は、一2、5のとおり、山田荘を建て替え、次いで隣接する山喜ビルをも建て替える計画を有していたところ、山田荘の解体までは終了したが、山喜ビルの全戸の立ち退きは難航しているのである。このように原告が新築を意図的に遅らせているとはいえない以上、原告の解除権の行使が濫用ということはできない。

四  本件(一)貸室の解除原因の存否(争点3)について

1  本件(二)部屋は本件(一)貸室の隣にある部屋である。また、本件(二)部屋の電気は被告が本件(一)貸室の電気を引いているものである。被告は家族三人で、夫婦は本件(一)貸室を専ら利用し、二四歳の子は、勉強部屋として本件(二)部屋を利用するが、性質上食事等本件(一)貸室をも利用していると推認される上、本件(二)部屋についての本件使用貸借の借主も本件賃貸借の借主も同じく被告である。このように本件(二)部屋の利用は本件(一)貸室の利用と有機的に一体となつているので、前者の用法違反は後者の契約関係における用法違反及び信頼関係に影響を及ぼすと評価するのが相当である。

本件使用貸借と本件賃貸借とが右のような関係にあるところ、三のとおり本件(二)部屋の用法違反は、極めて背信的な態様のものであり、本件賃貸借における信頼関係を極めて悪化させるものといわざるを得ない。

2  山喜ビルのある敷地に原告は駐車場を有するが、この駐車場を山喜ビルの部屋の賃借人が利用する場合には、部屋を借りるから駐車場も借りるという関係にあるから、その利用方法は性質上部屋の利用と有機的に一体となるものということができる。したがつて、被告が一4のとおり、駐車場を無断で使用するのは、その背景にある本件(一)貸室の利用関係における信頼関係の悪化として跳ね返つてくる面があると評価するのが相当である。

3  さらに、一3のとおり、被告は、本件(一)貸室の賃料、管理費、町内会費及び共同の電気代を長期多数回に渡り多額に滞納していたことがあり、未払い状態ならばそれ自体を理由に本件賃貸借契約を解除する事由となつたともいえることに照らすと、過去のこととなつたとはいえ、遠くないことであり、現在における信頼関係に微妙に作用する面を否定できない。

また、一2、5のとおり、山田荘及び山喜ビルの建替の話がある時に、他の賃借人と比べると、被告は信義にのつとり協力的に対応するのではなく、賃貸人である原告の足元を見て、自己の権益を巧みに拡大していく術にやや長けているといわざるを得ず、このような被告の態度も本件賃貸借における信頼関係に同じく微妙に作用する面を否定できない。

4  被告は、本件賃貸借における解除事由として本件(二)部屋及び駐車場等の利用の問題は別であると主張する、しかし、前述のとおり、両者には一体性があり、関連付けて判断するのが相当であり、被告の右主張は採用することができない。

5  以上によると、本件賃貸借において、被告には、一体的に評価されるべき本件(二)部屋の用法違反及び同駐車場の無断使用並びに過去の賃料等の滞納及び非協力ないし信義に則しないやりかたがあり、これにより賃貸人である原告との信頼関係を破壊したものと評価されても仕方ない。したがつて、このような理由により本件賃貸借には解除事由がある。

五  結び

以上のとおりであるから、原告の請求は理由がある。よつて、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条を適用し、仮執行の宣言についてはその必要がないからこれを付さないこととして、主文のとおり判決する。

(裁判官 岡光民雄)

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